先日、海外SEO鈴木謙一さんのコンテンツSEOセミナーを受講しました。実は、鈴木さんのセミナー受講はこれで3回目です。そろそろいい加減、受講してばかりではなく、知識として定着させるためにアウトプットすべく、ここで一旦セミナー内容をレポートしておきたいと思います。
海外のSEOカンファレンスから持ち帰った本場アメリカのSEO
本日レポートするセミナーは2011年7月7日に開催された「海外のSEOカンファレンスから持ち帰った本場アメリカのSEO」です。参加費3万円のセミナーでした。
これが鈴木謙一さんのSEOセミナー初参加だったのですが、生で見るナマ鈴木さんは脚が長くて、顔に似合わず(?)スタイルが良かったです。
セミナーは3部構成で、
- 1部:来たるべきパンダアップデートに備えて
- 2部:rel=”canonical”タグ習熟への道
- 3部:SEOしないSEOが最強のSEO(コンテンツSEO)
という内容でした。1部から順にレポートしていきますが、私なりの表現や参照リンクの付け足しが多々ありますので、当記事の内容を鈴木さんに問い合わせたりしないようにお願いします。
第1部:来たるべきパンダアップデートに備えて
パンダアップデートとは、米国で問題になっていた「コンテンツファーム」対策として、2011年2月に導入されたアルゴリズムの変更のことです。(日本のGoogleではまだ未導入)
「コンテンツファーム」とは何なのかというと「内容に乏しい(=役に立たない)コンテンツを大量に作り上げる」このことを「コンテンツファーム」として鈴木さんは定義しています。コンテンツファームの代表格として「Demand Media」というサイトがよく挙げられます。
Demand Mediaとはどのようなサイトかというと、今、話題になっているトピックについてフリーライターが記事を量産していくサイトです。フリーライターに「安価」で記事執筆を依頼しているため、記事の質は低く、中途半端な記事ばかりとなっています。
・・・これ、日本でもアフィリエイターがやってますよね。旬なキーワードで大量にアクセスを集めるのが目的だけで、中身のない記事にアフィリリンクを貼ってをひたすら量産するという。「もっと詳しく知りたい」と思って検索しているのに、既存の情報に感想をチョロっと書いただけの記事が上表示されていたら邪魔でしかありません。
そのような中身のないコンテンツを量産していたDemand Mediaは、当初は「パンダアップデートの影響はない」と言っていました。しかし、パンダアップデート導入から1年後、1850万ドル(約15億円)の赤字という結果に陥りました。参照:米Demand Media、1850万ドルの赤字 – Google パンダ・アップデートが原因
さらに、パンダアップデートの怖いところは、パンダの餌食になってから完全に復活するのがかなり困難らしいのです。そして、改善策を講じたとしても、次の更新まで改善策の結果もわからないそうです。
ですから、私達アフィリエイターもゴミみたいなサイトを作ってGoogleや一般ユーザーの邪魔をして、小銭を稼いでいる場合ではありません。自動記事生成ツールでサテライトサイトを作るとか論外です。パンダアップデートが日本に導入されていない今のうちに、パンダに好まれるサイトを作っておく必要があるのです。
パンダが来ていない今のうちにやっておく8つのこと
では、パンダに好まれるサイトを作るにはどうすれば良いのでしょうか。「今からできること」として以下の8項目が紹介されていました。
1 質の高いコンテンツを作成する
高品質なサイトになるための23個の質問と自分のサイトを照らし合わせる。
2 質の低いコンテンツを除去する
パンダアップデートはサイトワイド(サイト全体)に影響しますので、質の低いコンテンツに足を引っ張られます。質の低いコンテンツはnoindex robot metaタグで検索結果から消したり、別ドメインへ移動させておく必要があります。
3 サイト内の重複コンテンツの解消
4 外部サイトへの記事配信、スクレイピングに注意
スクレイピングに関しては下記の記事が参考になります。
スクレイピングを防ぐための現時点でもっとも効果的な方法
私のブログもGoogleのマット・カッツ氏推奨の「PubSubHubbub」に対応させるべく、PuSHPressというプラグインを導入しています。インストールして有効化するだけですので簡単です。
さらに、RSSを全文配信しないように、管理画面の「表示設定」から「抜粋のみ」を選択して対応させています。
5 閲覧の妨げになる広告をなくす
6 メインコンテンツをAbove the Foldに配置
※Above the Foldとは、ページが表示されたときにスクロールせずに見える範囲のことです。
7 ユーザビリティの向上(直帰率の低減、ロードタイム向上)
8 誤字・脱字のない、文法的に正しい、読みやすい文章
重要なのは、パンダアップデートが日本に来るかどうかに関係なく、Googleが求めているサイト=ユーザーの役に立つサイトを作っていくことです。
第2部:rel=”canonical”タグ習熟への道
rel=”canonical”タグとは?→URLを正規化して重複コンテンツを解消するタグ。
■rel=”canonical”タグが必要となるサイト例1:ヨドバシドットコム
まず、デジタルカメラカテゴリの1ページ目にアクセスします。次に、ページ下部より2ページ目に移動してから、再び1ページ目をクリックすると、URLがこのようになっています。
同じページが表示されるのに違うURLが表示されていますので、このような場合に、rel=”canonical”タグを設定していないと「重複コンテンツ」としてパンダアップデートの標的になる可能性があります。
■rel=”canonical”タグが必要となるサイト例2:@IT
「リッチクライアント用語辞典」というページにアクセスしてみます。
「リッチコンテンツ」の標準ページ
「リッチコンテンツ」の印刷用ページ
コンテンツはどちらも同じですが、標準と印刷用でURLが違います。この場合も、重複コンテンツ扱いされますので、rel=”canonical”タグの設定が必要です。
rel=”canonical”タグの設定方法はそのページのheadセクションに下記のコードを記述します。
[html]
<link rel="canonical" href="http://www.example.com/" />
[/html]
「http://www.example.com/」の部分に優先させたい、検索させたいほうのURLを入れてください。
第3部:SEOしないSEOが最強のSEO「コンテンツSEO」
鈴木さんは「コンテンツSEO」というSEOしないSEOを推奨しています。この「コンテンツSEO」に関して、LFM-TVでお馴染み世一英仁さんとの対談が無料公開されていました。記念に書き起こししておきます(敬称略)。
世一英仁:
SEOを被リンクのみで考えていくのは段々敷居が高くなっていくのかなと思うんですけど、他のアプローチで上位にサイトを出す、アクセスを集めるような仕組みを作れないか?と皆考えていると思うのですが、何か鈴木さんが取り組まれていることはありますか?
鈴木謙一:
面白い質問ですね。実はひとつあって、今僕達が一生懸命取り組んでいるのが「SEOしないSEO」っていうのがあるんですよ。SEOはするんですけど、いわゆる巷で思われているようなSEOはしないんですね。ほとんどの方がSEOをやっていると「SEO=被リンク、バックリンク」特に、「バックリンクさえ集めれば上位表示できる」という思考がやっぱりあると思うんですね。
確かにそれはそうなんですけども、バックリンク集めるのって結構大変じゃないですか。ツライですよね。自作でやるにしても、自然なリンクを集めるにしてみても、やっぱり有益なコンテンツが必要になってくる。すごい大変なんですね。
でも、そうじゃなくてバックリンクがいらない、少なくとも自作でバックリンクを集める必要がないSEOというのに成功しています。
世一英仁:
ちょっと立ち入った質問になるんですけど、成功しているとなると例えばアクセスがどの程度あって・・・
鈴木謙一:
面倒見ているサイトがあって、開設1年弱くらいかな。元々、アクセス1日30~40くらいあったんですけども、バックリンク対策、何も施策をしないのに、今1日1000近くまでアクセスが伸びているサイトがあります。
世一英仁:
1日1000アクセスというのは結構大きなキーワードで上位表示してもなかなか来ない数のアクセスですね。そういうサイトが被リンクを特に集めなくても作ることができる?
鈴木謙一:
実際にあります。ひとつだけじゃなくて複数のサイトで成功しています。
世一英仁:
そういったサイトを作ることは大きな会社でなくてもなんとかなるものなのでしょうか?
鈴木謙一:
逆に大きな会社である必要は全くないです。個人でも十分できます。
世一英仁:
そうなんですね。そういったサイトのSEOが今後重要になっていくのではないかという見解でしょうか?
鈴木謙一:
もちろんそうです。今ほんとに検索エンジンは競争激化してきてですね、ビッグキーワード、みんなが考えるようなキーワードはほんと激戦化していて、上位表示なかなか難しいんですよね。
それこそ、半年、1年、2年がかりでやっていかないと1位、2位取るのは難しいというがあるんですけども、今僕達が取り組んでいる「SEOしないSEO」をやっていくと安定したアクセスが早い段階で取れるし、廃れないです。
あるキーワードでダメになっても、別のキーワードでカバーしてくれるので、アルゴリズムに変化があってもブレないというか、安定しています。増え続ける一方、もちろん上下もありますけど、なだらかではありますけども、確実に今上がっています。
世一英仁:
理想的なアクセスの集め方ですね。それは収益に結びつかないとやっぱりサイト運営者としてはしんどいと思うのですが、収益にも?
鈴木謙一:
当然結びついています。アクセス集めるだけじゃ意味ないですからね。
世一英仁:
そうですね。バックリンク集めの施策とは別で、そういった形でのアクセスってのも考えていくべきだと?
鈴木謙一:
当然そのとおりです。是非取り組んで欲しいですね。
鈴木さん×世一さん対談動画は5本アップされています。1本目から順に見ておくと良いと思います。ちなみに、2011年9月と2012年3月に開催された鈴木さんのセミナーは、動画配信システムRITRATでオンライン配信されました。
コンテンツSEOのやり方
では、この「コンテンツSEO」とは具体的にどうやるのかというと、多種多様なキーワード、ロングテールキーワードで豊富な情報コンテンツを作って待ち伏せする。という方法です。ここで言う「ロングテールキーワード」とは、「検索数は少ないけど種類が多いキーワード」のことです。
具体的なロングテールキーワードの探し方は日本で一番ロングテールSEOに詳しいパシさんがロングテールキーワードを拾い方を教えてくれています。パシさんは鈴木さん曰く、「ロングテールSEOで右に出る者はいない」というほどのロングテールSEOのスペシャリストです。
ロングテールキーワードの拾い方が分からないという方へ | 無料SEO対策のススメ
要するに、徹底的にリサーチをしてキーワードを拾いつつ、そのジャンルに関して専門的な知識を身につけていって、それをコンテンツに反映させるということですね。そのジャンルに対する広く深い知識を身につければ、質の高いコンテンツを作れるようになりますので、必然的にパンダアップデート対策にも繋がっていきます。
コンテンツSEOのための便利ツール
また、セミナーではコンテンツ作成を補助する便利ツールとして、「Ubersuggest」というツールが紹介されていました。
Keyword suggestion tool — Google suggest scraper — Übersuggest
Ubersuggestは、Googleオートコンプリート機能で表示されたキーワードを一括で取得できるツールです。Googleオートコンプリート機能とは、他のユーザーの検索結果に基づいて予測される検索キーワードを表示してくれる例の機能のことです。
例えば、Googleの検索窓に「ロングテール」と入力すると、
ロングテール理論
ロングテール現象
ロングテールSEO
といった予測ワードが表示されます。このオートコンプリート機能をフル活用できるのがUbersuggestというツールです。Ubersuggestは海外のツールで日本語では使えなかったのですが、鈴木謙一さんが開発者に直接依頼して、日本語対応にしてもらったそうです。鈴木さんグッジョブですね。
Ubersuggestの使い方は簡単で、オートコンプリート表示させたいキーワードを入力したら、「日本語」「Web」を選択して「suggest」をクリックするだけです。
すると、入力キーワード+a~z、五十音順にオートコンプリートの予測ワードがずらずらと表示されます。
さらに「Select all keywords」をクリックすると、
右側に「Get」なるボタンが現れ、
表示されたキーワードを全てコピペでGetできるようになります。
これらのキーワードを使って、「このキーワードを入力したユーザーは何を求めているのか」を想像・連想しながら記事を書いていきます。他にも、
・顧客からの問い合わせ
・取材、インタビュー
・調査研究データ
・Q&Aサイト
などもロングテールキーワードを拾える記事ネタとして紹介されていました。
ゴミをばら撒くアフィリエイターになってはいけない。
以上、今さらながら2011年7月に開催された鈴木謙一さん初の単独SEOセミナーをざっくりレポートしました。ちなみにセミナー終了後には、緊張しながら鈴木さんと名刺交換を済ませ、一つだけ質問もしてきました。何を質問したのかと言うと、
Above the Foldに広告があるとパンダアップデートの標的になるとのことでしたが、広告ではなく、メルマガ登録フォームの場合はどうなるのでしょうか?
という質問です。納得の回答をもらって無事帰宅しました。その後、2011年9月と2012年3月の2回に渡って、「コンテンツSEO」に関する鈴木さんのセミナーが開催されましたが、使い回しのスライドも多く、ほぼ同じ内容でした。結局、SEOの本質は変わらないということですね。
しかし、未だにインフォ業界ではくだらない自動記事生成ツールや、アクセスを集めてクリックさせるだけが目的の中身のないコンテンツを量産して稼げ、みたいな教材が売られています。
ブログ運営歴5年の鈴木謙一さんでさえ、1つの記事に対してリサーチが2~3時間、記事執筆に1時間はかかっているそうです。それなのにアフィリエイト初心者の人が1時間やそこらで、人の役に立つコンテンツを量産していくことができるのか冷静に考えてみてください。
「自分さえ稼げれば何でも良い」のではなくて、Googleに好かれるコンテンツ=ユーザーの役に立つコンテンツをしっかりと作っていきましょう。
●本日のまとめ
旬な話題をネタにして低品質な記事を量産していた海外サイトは、パンダアップデートの餌食になって大赤字へと転落した。「質の高いオリジナルコンテンツ」が重要なのは今さら言うまでもない。
鈴木謙一さんのブログ
海外SEO情報ブログ – 海外のSEO対策で極めるアクセスアップ術
セミナー会場
株式会社セルフデザイン・ホールディングス ┃ 検索エンジン集客の達人
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