今から約3年前の2009年の4月を皮切りに、
情報商材業界で着々と勢力を拡大しているビジネスモデル
「格安ツール商法」の仕組みを順序立てて解説しておきます。
※格安ツール商法とは?
格安のツール&セミナーによるフロントエンド商品と
高額塾&高額コンサルによるバックエンド商品で収益拡大を図る手法。
序章:格安ツール商法は失敗から始まりました。
この「格安ツール商法」に基いて作られたツールが
インフォ業界で初めて発売されたのは2009年4月だったと思います。
しかし、当時は今のような仕組みが出来上がる前で、
バックに待ち構える高額塾への誘導は確立されていませんでした。
その後、2009年9月には今度は高額塾への導線ありきで
同様の格安ツールが発売されました。
塾への勧誘はそこそこ上手くいったように見えましたが、
このツール販売によって一つ失敗を犯してしまいます。
それは何かというと、
「ツールが起動しない」などトラブルが多発したツールなのですが、
それら不具合に販売者がサポート対応できなかったのです。
販売者はインフォ業界でそこそこ有名な人だったのですが、
開発プログラマーとの連携が上手くいっていなかったようで、
サポートがいい加減で、対応の悪さに軽く炎上していました。
「◯◯さんって、こんな酷い対応をする人だっけ?」
といった口コミも見られ、名前に傷がついてしまったのです。
これを経験した格安ツール商法関係者は、
「安易に格安ツールを売るのはリスクを伴う」ことを学習し、
新たな活路を見出していくことになります。
以下、ステップ・バイ・ステップで解説していきます。
STEP1:格安「セミナー」を開催する
まず、格安ツール販売のリスク軽減をするため、
新たな活路として登場したのが「格安セミナー」です。
「ネットビジネスど素人でも、この手法ならほぼ間違いなく稼げるようになる」
「セミナー参加者の97.3%が満足!」
といったような初心者訴求用のセミナー募集ページを用意し、
参加費用も会場費用分だけで済むくらいに設定し、
甘い考えのネットビジネス初心者の集客を開始します。
ネットビジネス初心者を集めますので、
海外旅行、高級外車、高級焼肉、ブランド品のイメージ画像や、
「さらに!さらに!」などの稚拙な手法を募集ページに使います。
要するに、そんな低次元なセールスレターにさえ食いついてしまう
単純思考のおいしい見込み客を集めるための戦略です。
また、セミナー参加者特典として、
「マル秘ツール」を用意していることも匂わせておきます。
実際は、自動でコメント投稿するスパムツールを提供するのですが、
初心者には善悪の判断が付きませんので、
自動ツールをプレゼントするだけで満足させることができます。
ただし、念のためクレームを最小限に留めるために
募集ページの特定商取引法表記の会社名や住所は
画像処理してコピペを簡単にされないようにしておきます。
そして、セミナー当日は、
「ツール販売者になると簡単に稼げますよ」という情報を
参加者に対して刷り込むのです。
つまり、この格安セミナーの目的は、
自分たちの代わりに格安ツールの販売者になってくれる人
を集めるために行なうのです。
セミナーや懇親会ではそういった概要説明や、
稼げるためのマインドセットなどに終始させておき、
具体的な突っ込んだ内容までは明かさないでおきます。
STEP2:格安セミナーのバックエンド「高額コンサル」を発動
「セミナーで何か売りつけられるのかと思ったけど、
ツール販売は稼げることや、
稼げるマインドセットを教えてもらって良かった」
そのような参加者の満足度の高いうちに、
「ツール販売者になる方法をさらに詳しく教えますよ」と、
セミナー参加者に対して「無料個別相談」のオファーを後日流します。
そして、無料個別相談の最後に、
「高額コンサル」を申し込むように勧めます。
この高額コンサルの内容は何かというと、
「ツール販売者になれるように全面バックアップします」
というものです。
「ツールもセールスレターも私達が代行制作しますし、
販売促進も実力のあるアフィリエイターを多数抱えています。
あとは販売者として販売開始するだけですよ。」
そう言って、その辺のボッタクリ高額塾よりも
はるかに高い金額のコンサル費用を提示するのですが、
高揚している参加者の数人がこれに申し込みます。
ちなみに、ツール制作は自分たち(セミナー主催者)の系列会社に
外部プログラマーを雇わせて作らせます。
業務委託契約でJava系が得意なプログラマーを採用します。
契約(制作)期間は1ヶ月~1か月半程度で、
報酬は7~10万円くらいで募集をかければ人材は集まります。
STEP3:別途運営している高額塾の参加者にツールを販促させる
ツールが完成したら、
系列会社が運営している塾の参加者にモニターをやらせます。
塾の募集ページで謳っていた
「新商品のモニター権利」や「特別報酬設定」が
この段階で塾生に提供される仕組みです。
塾生をバグ取りの実験台に使い、
さらには販売ページに「お客様の声」として利用し、
販促までやらせるという効率的な塾生の利用方法です。
塾生にはアフィリエイト活動用のオリジナル(?)特典として、
・自動投稿ツール
・自動足あとツール
・自動コメントツール
などの迷惑スパムツールも支給します。
塾長がおすすめするものは全て正しいと思っていますので、
塾生は何の不信感も抱くことなく、特典に活用します。
格安ツールのターゲット層はこういう類で稼げると信じてしまう層ですので、
塾生による特典付きアフィリエイト戦略も上手くはまります。
STEP4:きな臭い販売ページにして、初心者リストを集める。
また、ツールの販売ページは、
「ネットビジネスど素人でもこのツールを動かすだけで
自動で稼げるようになるんだ」
と夢を見させるような内容にします。
ネットビジネスど素人のリストを集めるのが目的ですので、
海外旅行、高級外車、ブランド品のイメージ画像や
「さらに!さらに!」などの古典的手法はきっちり盛り込みます。
商品名はユニークでド派手なものにして、
販売ページの冒頭にヘッドコピーとともにデカデカと提示します。
販売金額は2,980円からスタートして、
サポートや全額返金保証を謳い、リスクリバーサルは万全の状態にします。
最後に、隠し特典「ちょっと待ったー!」で後押しをします。
「楽して稼げそうな格安ツールは売れる」という過去のデータのとおり、
楽して稼げる方法を夢見ている「おいしい顧客リスト」を
ここで大量に集めることができます。
販売期間中は値上げ(たった1,000円)も段階的に2、3回行い、
「値上げ準備中」のロスタイムも活用して煽っていきます。
STEP5:集めた初心者リストに対して、高額塾をオファーする。
格安ツールを販売することで、
おいしくて香ばしい初心者リストが大量に集まりました。
このリストに対して、高額塾のセールスを仕掛けていきます。
セールス方法は塾長による動画プロモーションです。
ツールで稼げると夢見ている香ばしいリストですので、
ハイレベルな情報提供は不要です。
ごく基本的なアフィリエイトの知識や
コメント投稿の引き換えによるプレゼントを用意するだけで、
「無料でこんな役立つ情報をありがとうございます!」
と感謝されます。雪崩のようにコメントが付きます。
動画プロモーションの最後には
「チャンスの扉が今開かれました!」
と題して高額塾の受付を開始します。
受付期間中も勧誘メールをガンガン配信し、
「ものすごい勢いで参加いただいています!」
「このペースでは枠が埋まってしまう可能性があります!」
「本日も◯名が参加されました。お早めにお申込みください!」
と入塾を煽ります。
もちろん、ただの煽りですので枠なんて最初からありません。
受付最終日までしっかりと勧誘を続けます。
それだけでなく、受付最終日には
「あと◯時間で終了です」と何通もメルマガを配信しておきながら、
最終日の翌日にもう1日、受付を延長させます。
受付の延長理由は
「申し込みが間に合いませんでした。何とかなりませんか?」
という問い合わせに対応するため~とか適当に作ります。
当初は「枠が埋まる」とせかしておきながら、最後は受付延長までする。
冷静な人なら失笑もののセールス手法だと気づきますが、
興奮状態にあるネットビジネス初心者には普通に通用します。
結論:格安ツール販売を起点にしたねずみ講ビジネス?
そして、この塾の受付期間中は、
既存塾生たちにも塾自体をアフィリエイトすることを勧めます。
1件6万円の高額報酬が得られますので、
全力でアフィリエイトに協力してくれます。
塾生たちには、
・塾自体をアフィリエイトすること
・塾から提供された格安ツールをアフィリエイトすること
という、「身内の商品をアフィリエイトする」ことで、
ネットビジネスで稼げるようになることを体験してもらいます。
「稼げるようになりたければ私たちの商品を紹介しましょう」
という、まるでねずみ講のようなビジネスモデルの完成です。
こうして、格安セミナーに参加した人は、
塾生に自分のツールを売ってもらって稼げるようになり、
高額塾に参加した人は稼ぎやすいツールや塾自体を紹介して稼げるようになり、
主催者側は高額コンサルと高額塾でさらに稼ぐことができます。
つまり、この組織の中に入ってしまえば全員が稼げるようになるという
とっても素敵な仕組みになっているのです。
図解:格安ツール商法の組織図(全部繋がっています)
これが情報商材業界で着々と参加者が増えている
「格安ツール商法」の実態です。
この流れをグルグルと回して、何度も繰り返していきます。
誤解のないようお伝えしておきますが、
格安で売られているツールが全て今回の格安ツール商法に該当するわけではありません。
ちなみに先日、日本テレビの「news every」に関して次のような報道がされました。
利用者が急増している「宅配の水」の利用者と紹介した人が、実はその宅配水メーカーの親族であった。意見では、故意ではなかったとはいえ、事実確認を怠った結果として宅配水メーカーに関係ある人に好意的な評価を語らせ、放送に求められる客観性、公平性等の放送倫理に違反したと指摘した。
日本テレビ『news every.』の「飲み水の安全性」報道に関する意見
あなたはこの「格安ツール商法」の素敵な仕組みをどう思いますか?
●本日のまとめ
格安ツール商法は、ただ単に高額塾のフロント商品というだけでなく、
別ルートから集客した格安セミナーのバックエンド商品とも繋がっており、
身内の商品を組織ぐるみで売っていく素敵なビジネスモデルのことを指す。
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この記事へのコメント
お久しぶりです、めしおさん。
これ、どこの誰それがやっているビジネスモデルか簡単にわかっちゃいますね。(笑)
実は、このツール販売会社格安セミナーに昨年参加しました。(懇親会も)
ツール販売者になれ、ってことでしたが、正直、どうすればなれるのか、全くイメージできませんでした。
こういうカラクリだったんですね。
懇親会でも、アフィリエイトに関する質問をすると、「自分の会社ではやっていないので、他で聞いてください」の一点張り。
ま、不信感しか残らないセミナー、懇親会でしたね。
おそらく、参加した人の多くは、アフィリエイトとか、輸入ビジネスなどのことを勉強したくて参加したと思います。
結局、セミナーで得られたものはなかったです。
今回のめしおさんの記事、いい記事ですね、
ひとつこころのモヤモヤが晴れました。
ありがとうございます。
また顔出しますね。
よろしくおねがいします。
藤井さん
コメントありがとうございます。
>これ、どこの誰それがやっているビジネスモデルか簡単にわかっちゃいますね。(笑)
素敵なビジネスモデルですので、隠す必要もないですからね。
悪いことやっているわけじゃないのですから(笑)
>実は、このツール販売会社格安セミナーに昨年参加しました。(懇親会も)
あら、そうだったのですか。
>おそらく、参加した人の多くは、アフィリエイトとか、輸入ビジネスなどのことを
>勉強したくて参加したと思います。
何のセミナーなのかちゃんと書いて欲しいですよね。
普通、セールスレターを見てどんなビジネスモデルかわからないものは
手を出さないのですが、価格が安いので参加してしまうのでしょうね。
無料セミナー動画にコメントするとレポートないし、ツールが手に入る。
定期的に動画が上げられてくるのでまた、コメントして……を繰り返す形式のあれもこれなのかな
ちなみに
いくつかの無料セミナー動画を途中まで見てきたけど自己紹介が様式美化している感じがする。
なぜかよくある共通点
・パソコン初心者、苦手
・メンターに奇跡的に出会う。
ブログにコメントをさせるのは、
伊勢さん村上さんが日本で最初にやり出したのですが、
今は無料オファー系ではほとんど使われている手法ですね。
話す速度がゆっくりで、気持ち悪い大げさな身振り手振りをしていたら
格安ツール商法の一味だと思って間違いありません。
競馬の稼げる馬教えますとかもそうだけれど
もはや俺がやらなくてもいいじゃん、って思うものは大体詐欺なんだな、とよく思います。