例の景品表示法上の問題点について消費者庁に電話してみた。
去る2011年10月28日、消費者庁が
「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する
景品表示法上の問題点及び留意事項」を公表しました。
→ 「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の公表について(PDF)
この資料で問題があると指摘されていたのが、
1 フリーミアム(無料オファー)
2 口コミサイト(ブログも含む)
3 フラッシュマーケティング(クーポンサイト)
4 アフィリエイト
5 ドロップシッピング
以上の5つのビジネスモデルです。
これらについて、いくつか気になる点がありましたので、
消費者庁に電話して確認しました。
フリーミアムに対する景品表示法の疑問
■Q:どの段階でサービス内容を表示すれば良いのですか?
「事業者は、無料で利用できるサービスの具体的内容・範囲を
正確かつ明瞭に表示する必要がある」とのことですが、
どの段階で、どの程度まで申し込み者に伝える必要があるのでしょうか?
例えば、申し込み後のステップメール内で
「実は、さらに良いサービスがあります」といった後出しでも良いのでしょうか?
■消費者庁:申し込み時が妥当です。
消費者を誤認させないことが重要ですので、
「申し込み時」に明瞭に表示するのが妥当かと思います。
今は無料ゲームの申し込みも、申し込み時に有料サービスの案内がある旨を
明示しているはずです。どの程度の内容まで明示するか、に関しては、各事業者のサービス内容
によりますので一概には申し上げられません。
■Q:「完全」無料と謳わなければ大丈夫なのですか?
「サービスが無料で利用できることをことさらに強調する表示」
とありますが、例えば「完全無料」や「全て無料」ではなくて、
「無料」だけに留めれば大丈夫ということなのでしょうか?
■消費者庁:消費者がどう判断するかです。
これも消費者がどう判断するかです。
「完全」という表現を使っていなかったとしても、
付加的なサービスも含めて無料であると誤認させてしまうと
景品表示法上の不当表示として問題となります。
■Q:無料レポート請求後のメルマガ内でのオファーは?
アフィリエイトの世界では「無料レポート」というものがあり
レポートをダウンロードしてくれた人に対して
後日、自社商品の販売や他社商品のアフィリエイトをしています。
この場合にも後日、有料商品の案内がされる旨を
記載しなくてはいけないのでしょうか?
■消費者庁:実際のものを見てみないとわかりません。
・・・ちょっとそれはどのようなものなのか
実際のものを見てみないと明確なお答えができません。
口コミサイトに対する景品表示法の疑問
■Q:効果は事実ならOKなのでしょうか?
しみ、そばかすを予防するなどの効果に十分な根拠がなかった場合は
問題となるとのことですが、自身の体験談として「事実」なら問題ないのですよね?
■消費者庁:事実なら景表法上は問題ありません。
事実なら問題ありません。
しかし、表現方法によっては薬事法に触れるかも知れません。
あくまでも景品表示法上に関しては問題ありません。
■Q:「著しく優良」が事実ならOKでしょうか?
口コミの掲載を芸能人などに依頼した場合、
実際より著しく優良だと誤認させずに、それがありのままの事実ならOKでしょうか?
■消費者庁:事実なら問題ありません。
はい。先ほどの回答と同じになります。
ですが、アメリカでは広告主からブロガーに対して商品・サービスの無償提供や、口コミ記事への対価支払いがされていた場合
広告主は「欺瞞的な行為又は慣行」として法的責任を問われます。ですので、事実だとしても、さも自分の意思で書いたかのように書かせるのは
倫理的にどうかと思います。
フラッシュマーケティングに対する景品表示法の疑問
■Q:アフィリエイターがクーポンを利用する場合は?
二重価格表示について質問です。
まだ販売実績のない新商品を通常価格で販売開始すると同時に
アフィリエイターに割引クーポンを渡し、
アフィリエイター経由で購入すると割引で購入できる場合。
販売サイトには二重価格表示はしていません。
しかし、アフィリエイターのサイト上で
「当サイトから購入すると通常××円のところ、◯◯円で購入できます」
と表示していたとします。
この場合はアフィリエイターが景品表示法違反になるのでしょうか?
■消費者庁:実際のサイトを見てみないとわかりません。
アフィリエイターは景品表示法上の「表示」には該当しませんが、
実際にどのような表現がされているのかサイトを見てみないと
明確な回答ができかねます。
※ちなみに、クーポンサイト業界ではオールクーポンジャパン株式会社が、
「不当な二重価格撲滅委員会」なるものを設立し、自浄作用が働いているようです。
ここが情報商材業界との違いですね。
アフィリエイトに対する景品表示法の疑問
■Q:テキスト広告も対象ですか?
「バナー広告」の表示が問題と記載されていますが、
テキスト広告も対象になるのでしょうか?
■消費者庁:もちろん対象となります。
■Q:法的責任は広告主側に問われるのですよね?
アフィリエイターは景品表示法で定義される「表示」には該当せず、
バナー広告を作成した「広告主」に責任が問われるのですよね?
■消費者庁:はい。おっしゃるとおりです。
■Q:アフィリエイターが作成した広告文の場合は?
では、広告主が用意したバナー広告ではなくて、
アフィリエイターが自分で作成したテキスト広告が問題となった場合は、
アフィリエイターと広告主、どちらが罪に問われるのでしょうか?
■消費者庁:どちらとも言えません。
現行の景品表示法では、どちらとも言えません。
まず、アフィリエイターは
商品・サービスを自ら供給する者ではありませんので、
景品表示法で定義される「表示」には該当しません。
景品表示法が適用されるのは「広告主」側になります。ですが、その広告文を作成したのが広告主ではなく、
アフィリエイターが勝手に作成したのであれば、
広告主に責任が問われるものでもありません。しかし、アフィリエイターの表示は
先ほど申し上げましたように景品表示法には該当しませんので、
アフィリエイターにも景品表示法は適用されません。つまり、現行の景品表示法上では「どちらとも言えない」
という回答になってしまいます。
ドロップシッピングに対する景品表示法の疑問
■Q:アフィリエイターなら効果を表示して良いのですか?
「効能・効果を強調した表示はNG」とのことですが、
ドロップシッパーではなく、アフィリエイターなら表示して良いのでしょうか?
■消費者庁:景品表示法上は問題ありません。
先ほどの回答と同様に、
アフィリエイターの場合は景品表示法の「表示」には該当しませんので
それが事実であれば、景品表示法上は問題ありません。しかし、薬事法など他の法律に関わるかどうかはわかりません。
あくまでも、景品表示法についての回答となります。
●本日のまとめ
消費者庁がネットに蔓延る消費者騙しについて、ついに動き出した。
しかし、今の景品表示法では対応し切れていない部分もあり、
現行法の見直しも必要なのかも知れない。
※消費者庁表示対策課
岸本さん、高橋さんへ
電話でお聞きした内容を極力忠実に再現したつもりですが
もし、記事内容に間違いがあれば訂正しますので、
お伝えした携帯番号までご連絡ください。
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この記事へのコメント
はじめてコメントさせていただきます、ワンデイと申します。
非常に具体的な内容で、とても参考になりました!
ありがとうございます。
また、いろいろ拝見させていただければと思います。
応援ポチw
ワンデイさん
コメントありがとうございます。
素敵なハンドルネームですね。
はじめまして、めしおさん
ダイと申します。
すごい、このテーマで、しかも役所に電話までして得た情報を
ブログで公開ですか^^
参考になります\(^o^)/
応援ポチ完了です☆
ダイさん
コメントありがとうございます。
ブログのネタにするために、消費者庁に問い合わせています^^
はじめまひて、めしおさん
とかちゃんと申します。
すごいですね!役所に電話して聞くなんて行動力がすごいです。
とても役に立つ記事をありあがとうございます。
応援ポチ!
とかちゃんさん
コメントありがとうございます。
メールは受け付けてなかったもので^^
めしおさん、初めまして。
こうやってコメント欄に書くのは初めてになります。
この件。
楽天アフィリぐらいしかまともにやってないんですが、
すごく気になっていました。
自分もいっそ問い合わせしようかと考えていたのですが
このようなレポートにまとまっていて凄いって思いました。
お客様に対して正直に居たほうがよさそうですね。
モバアフィさん
コメントありがとうございます。
そうですね。正直者が最後には勝つと思います。